痛み緩和注射

肩や背中、腰などには指先などで圧迫すると痛みが広がる部分があります。トリガーポイント注射はこの部位に局所麻酔剤や抗炎症薬を注入します。同注射は痛みのある中心部分だけでなく、その周辺の痛み、少し離れた場所に放散する痛みなども抑える効果が期待できます。超音波装置を使って行うことでより正確に痛みの場所を特定し、注射することが可能です。

ハイドロリリースは、超音波ガイド下で患部に生理用食塩水などを注射する治療法の一種です。近年は超音波診断装置の性能が飛躍的に向上しているため、X線では判断が難しかった軟部組織をリアルタイムで観察できるようになりました。これに伴い、超音波ガイド下で筋膜や腱鞘などの部位や状態を確認し、ブラインド手技よりも安全かつ正確な位置に生理食塩水などを注射することができるようになりました。ハイドロリリースを行うことにより、注射直後から痛みを軽減する効果が期待できます。

神経ブロック注射は、炎症を起こした神経の近くに局所麻酔薬や抗炎症薬を直接注入します。これによって痛みを抑えていきます。なお、神経ブロックは内服薬と異なり、必要な部位だけに直接的に効果を及ぼすことができます。全身的な作用は無く、意識にもほとんど影響しません。但し、神経ブロック療法はすべての症例で同様の効果が出現するわけではありません。そのため、当院では患者さまの状態を見極め、神経ブロック注射が有効か否かを慎重に診断してから注射いたします。

関節腔内注射は、膝や肩関節にヒアルロン酸ナトリウムを注射する治療法です。ヒアルロン酸注射の主な目的は、関節の滑りを滑らかにすることです。もともと関節の中は、ヒアルロン酸を含んだ滑液という液体で満たされています。しかしヒアルロン酸は年齢を重ねると徐々に減少していきます。関節軟骨の摩擦を緩和するヒアルロン酸が減少することで、膝や肩への負担が増え、動きが悪くなり、痛みが発生します。そこでヒアルロン酸注射により潤滑効果をもたらし、痛みを緩和し、動きを改善します。

腱鞘は腱（指などを曲げたり伸ばしたりする紐）を包み込んでおり、その腱鞘内に各種薬液を注入する方法が腱鞘内注射です。ばね指やドケルバン腱鞘炎という病気で行うことが多いです。腱と腱鞘の摩擦による炎症と腱鞘の肥厚を抑え、痛みを緩和することが主な目的です。